〔米国株〕暴落への対処方法 『コロナショック』の乗り切り方

びたみんしーただです。

ここ数週間,コロナショックで相場が大荒れですね。ぼちぼち退場したり投資方法を変えてみたりと試行錯誤している投資家も多いでように思います。

はじめに

いよいよ兼ねてより囁かれてきたリセッション入りが現実味を帯びてきました。昨日、CNNが弱気相場(Bear Market)入りを明言しました。

The S&P 500 briefly dipped into bear market territory: Here’s what that means

——S&P 500は一時的に弱気市場の領域に入りました。

引用元:CNN Business

ただ、この記事は昨日時点のもので、実際は2月中旬くらいから下げ始めています。この間、投資家たちの間では様々な論争や暴落への向き合い方が議論されています。

今回は僕の中での暴落への向き合い方と、それを体現するための金言をご紹介します。またこのような相場における短期でのチャートの見方や買いを入れるタイミングについての一考察をポストします。

現在の投資家界隈

3月に入り相場の下げ勾配が一層激しくなってきました。大体の目安として、多くの投資家が投げ売りや退場、総悲観となると相場の底だと言われています。僕はその状況をツイッターやFear&Greed、VIX指数を参考に日々考えています。

Twitterの投資家たち

このように、これまでの投資方針をガラリと変えてみたり、持ち株をすべて処分して新たな参入機会を伺ってみたりなど様々な反応が見えます。またこの暴落に関してかなり悲観的になり、1000年に一度の・・・などと表現している方もいますね。

実は、僕もこのような反応には身に覚えもあります。むしろ気持ちがわかるぐらいです。しかし、その時期を経て今のスタイルに行きついています。

恐怖指数(VIX)

次に恐怖指数(VIX)です。

右端がここ数日の動きです。かなり高水準にあることがわかります。

但し、リーマンショック時を考えると、当時は89~90の間まで上昇していますので、まだまだ上げる余地はあります。

Fear&Greed

続いてFear&Greed指数です。

もうほとんど下げる余地がありません。かなりの低水準です。これは投資家が完全に総悲観の状態に入っていることを示唆しています。

※)追記:3/13早朝に指数が『1』となりました。

現在の投資家の心理

これらの指数や投資家の反応をまとめると、もう既に悲観ムードはかなり蔓延しており、市場から資金も逃げていることがわかります。ただそれでも下げている理由は、一定以上の市場参加者がまだおり、売り枯れる状況までは到達していないことを示しています。

現に、VIXはまだまだ上げる余地があるため今後のコロナウイルスの状況や、経済活動の停止によって倒産する企業が続出するなどのマイナスインパクトが続けばまだまだ下げることも考えられると思います。

暴落時に注意したい株価の動き

暴落時は、いつもの投資セオリーが通用しないことがあります。これをチャート上でまとめてみました。日本人の米国株投資家は、主に中長期での投資家が多いのと、基本的には現物取引が多いので空売りなどを行っている人はごく少数です。

このため、相場と決算、財務を考えて上げる銘柄で成果を出すことが前提です。と言うことは「下げたところで買う」が主流のセオリーになります。

騙し上げ・ダブルボトム・マルチボトム

底で買って天井で売ることを目指す多くの投資家は、チャートの形状などを意識してINする機会を伺います。

これは2018年のブラッククリスマスの時のチャートです。騰落率はセリクラまでにー19%の下落となりました。この時は約3か月かけて下落し、その後回復するまでに約7か月を要しました。この図はあくまでも引きでその時の大まかな流れを見ているにすぎません。

もう少し詳しく当時の様子を考察します。

まずブラッククリスマスは、米中貿易摩擦の懸念から生じた下げ相場となりました。これを日足で短期的に考察すると何度かの反発を繰り返していることがわかります。

短期や中期トレードでは前日のロウソクの形状から翌営業日の市場動向を予想することが肝要ですが、これを考慮すると暴落時の投資家心理が少しだけ透けて見えてきます。

デイトレにおいて下ヒゲのロウソクは翌日の上昇サインとして認知されています。これを図示してみたところ、この下落相場期間に発生4回、反発1回です。

このように通常のセオリーはあまり通用していないことがわかります。結果としてセリクラを合わせると3回底打ちしてようやく相場転換が見られています。つまり大きく売られたからセリクラであるという考え方は非常に危険であることがわかります。

どちらかと言えば、出来高目線で見た時の売り枯れがサインになる傾向が見られます。ただ、この出来高のサインは市場に流動性が担保されていればと言う前提条件が付きますのでこちらもご注意ください。

この騙し上げのような現象が起こるのは、機関投資家による空売り(相場調整)の買い戻しが最も大口として挙げられますが、その他にも投資家が「底で買えば儲かる。いずれ上がるのだから。」と考えるために、本来まだ下に行くべき相場に歯止めがかかることも要因です。確かに、投資家は安く買って高く売るために存在しますが、これによって本当の買いを入れるタイミングを更に難しくしてしまいます。

以上の実例から、暴落時はダブルボトムやマルチボトムに注意しないと、騙し上げによって資金が先に底をつく可能性がありますので注意が必要です。

コロナショック

では今回のコロナショックはどうでしょうか。

世界的な疫病の蔓延によってかなり市場は過敏に反応しています。下落のスピードがかなり速いですが、同様の傾向が見られています。

ここ数日はボラティリティが非常に高く1000ドル単位での相場変動が起きていますが、7営業日前に下ヒゲ陽線が出た後に大きく反発しています。3分の1程度の戻しが見られています。ブラッククリスマスと決定的に違うところは、このロウソクに出来高が伴っているところです。これはかなり強いサインだと言えます。ちなみに3/12以降は、FRBが資金投入をすると発表していますので、これで流動性が確保されればいいなとは個人的に思っているところです。

しかし、結果的にアメリカ国内での感染拡大が懸念されたためそこから更に倍額の下落がありました。結果として騙し上げになっています。これはネガティブ材料をまだ織り込んでいないということになります。

このように、今回の暴落についても材料が出尽くしたと判断するために短・中期の知見を入れるのは危険かと思います。そして如何に暴落時に完全な底を狙うことが難しいかわかると思います。こんな時に余剰資金を全投入するのは自殺行為です。

暴落時の資金投入のタイミング

ではどうすれば買いのタイミングを計れるのでしょうか?

答えは「正確なタイミングはわからない」です。どうしても過去と同じ暴落が起きることはありませんので当時の指標や事例を基にこのタイミングがベストというポイントは導き出せません。あくまで参考程度です。

ではどうするのか?やはり必要なのは、資金分散と決められたタイミングでの購入です。

長期投資家にとって最も大事な概念は時間軸です。目指す長期がどれくらいの期間かは人それぞれですが何十年というスパンで考えている人にとっては、この相場はリターンを大きく得るための機会であることは間違いありません。

なぜなら、同じ暴落はありませんが、「経済は成長し続ける」という前提の基で投資をしているからです。いずれは必ず回復するという前提がマストです。しかしINするタイミングは正確に測れません。

このため資金投入のタイミングは、過去の事例を考えながらルールを決定します。例えば「週足の直近高値に対し半値を戻したら定額分買う」などのINする条件に加え、資金分散は「マルチボトムで4回バウンドする」などの条件を作り分散して投資をするべきです。

また、資金が途中で尽きた場合はそこからホールドすれば良いのです。自分のキャッシュポジションによって分散回数などは決めればよいと思います。僕の場合は常に30%程度をCPとして用意しておくので、大体3分割くらいが妥当かなと考えています。

特に今回は下げ幅が大きいですので、戻すときもそれなりの勢いで戻すことが予想されます。それを考えると効率的な分散回数は小さいのかもしれません。

こうしたルールを決めておくと、変なところで買うリスクは劇的に減りますし、複数に分散することでリスクを低減できるのです。またこの時の買付により場合によっては、ほぼ底付近で買うことができる可能性も残ります。全額は無理でも底付近でいくらか購入できることは大変幸運なのです。

但し、注意しなければいけないことは織り込まれていない可能性があるニュースなどには注意することです。現時点でいうとオリンピックの中止や緊急利下げ、感染者のピークなどがありますのでこれらも考えに入れておくべきでしょう。

※)あくまでも私見です。セオリーではありません。セオリーでいうと淡々と定期購入だと思います。

どうしてホールドするのか

因みに、僕はこのような地合いでは基本的にホールドすることを決めています。そのこころは、投資期間を長く見ているため、このような相場もあり得ると覚悟の上で投資しているからです。ただ、損切りや一時利確することに関してはそれも良いと思います。

相場で打ち勝つには強靭なメンタルが必要です。特に額が大きくなってくると尚更です。具体的には、何%下落したかどうかではなく、何円飛んだかが人のメンタルを蝕みます。これに限ってはいくら覚悟をしても、現実に直面したときに踵を返してしまうのが人間です。

ルールを決めてもそれを破ってしまったりします。この中で最も愚かな行いは、含み損で大きな損失を抱え、そのまま退場することです。僕は損切してメンタルを保つ、利確して投資機会を待つ。これは非常にいい判断だとおもいます。

しかしこれもまたメンタルの世界です。特にタイミングが難しい。ルールで切るのであれば良いですが、そうでない場合は完全に気持ちのコントロールがつかずに売ることになります。これは後で反省はできますが、以降同じことを繰り返しかねません。

僕もかつての暴落時は自己嫌悪や他人の意見に振り回されて精神状態が芳しくありませんでした。これは非常に愚かであったと思います。人ぞれぞれ投資を始める目的やゴールは違います。そんな言葉に振り回され、影響された判断は後で必ず後悔します。

もし今回のコロナショックを後で見直すとき、そしてその時にあなたが中途半端な対応をしていたら思い出してみてください。

「Twitterの〇〇さんがあの時に大丈夫と言ったから自分もそう思ったんだよな」

そんな基準で不安な状態を解消しようとはしませんでしたか?また、ルールを決めずに怖くなったから売ってしまった。などありませんか?

少なくとも市場に詳しい教授やバフェットなどの資産家の話は参考にするに値します。

ですがどうでしょう?この人たちもまた市場に振り回されています。そんな時は立ち返って平時に見た書物の内容を思い出すなりした方が良いです。著者自身が狼狽えていることもありますが、それは真の姿ではないはずです。

色々と書きましたが、僕は本当の長期で市場の成長を確信しているためホールドするのです。若さとは市場において最も強い武器なのですから。

・・・と偉そうに書いてますが、当時は僕もかなりおかしくなってます。その時の記事は何かもう支離滅裂で調子悪さが全開です。

当時の記事はこちら

暴落を乗り切る市場サイクルの見極め

これまでに書いた通り、僕はホールドで引き続き買付をしていきます。このような暴落は、社会情勢によって起こることもありますが、投資家心理によっても引き起こされる問題です。いずれにしてもこういったリセッションの現象は市場の歴史を考えても大なり小なり必ず起こり得るものです。

以下、今回の暴落の特性を踏まえて市場のサイクルがどういったものなのかを述べます。また、この意見は僕が参考にしているハワード・マークス著の『市場サイクルを見極める』の文言を借りながら考えてみます。

コロナショックは一時的なもの

最近、WBSやWSJ、Twitter等のSNSでは今回の暴落をリーマンショックと比較する動きがあります。現に僕もVIXをリーマンと比較したりしています。しかし、これらは似て非なるものであり、発生の状況が違いますしその展望も明らかに違います。

リーマンショック

まずリーマン・ショックとはどのようなものであったかをおさらいしましょう。

リーマン・ショックは、2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Lehman Brothers Holdings Inc.)が経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した事象を総括的によぶ通称である。

リーマン・ブラザーズも例外ではなく、多大な損失を抱えており、2008年9月15日(月曜日)に、リーマン・ブラザーズは連邦倒産法第11章の適用を連邦裁判所に申請するに至る[2]。この申請により、同社が発行している社債や投信を保有している企業への影響、取引先への波及と連鎖などの恐れ、及びそれに対するアメリカ合衆国議会・アメリカ合衆国連邦政府の対策の遅れから、アメリカ合衆国の経済に対する不安が広がり、世界的な金融危機へと連鎖した。

引用元:ウィキペディア

このように、リーマン・ショックは巨大な投資銀行が経営破綻したことに起因する暴落相場です。つまり、アメリカ国内の企業が直接的にリーマン・ブラザーズと関りがあったためにアメリカ経済自体への信用が失われ、金融危機となりました。

コロナショック

では、コロナショックはどうでしょうか。

今回の暴落は、新型コロナウイルスが世界に同時に蔓延したことによる経済活動の停止が招いたものです。まずはここ数年の経済活動に大きな影響を与える中国国内が実質稼働停止状態になったこと、次にアメリカ本土での蔓延が始まったこと。これが全てです。

懸念される事項として、この一時的な下落により小規模企業や赤字企業が倒産してしまうリスクが挙げられます。日本でも中国人観光客によって生計を立てていた旅館やツアー会社が倒産するなどの問題が発生しています。

しかしこれらの中小零細企業の倒産は、正直あまり影響してきません。むしろ考えるべきは、大手航空会社や食品メーカーなどの倒産が最悪のシナリオと言えます。地政学では各国の主要政治家が発症するなどすると更に懸念が広がると考えられます。

いずれにせよ共通して言えることは、現時点でリーマン・ショックと比較するほど悲観的な状況にはないということです。米国内の企業は至って健全な状態です。特に自己資本比率を大きくとっている企業は自己再生能力も高いと思われます。

つまり今回のコロナショックはリーマン・ショックと違い、投資家心理がトリガーになったと考えられます。またこれまで好調過ぎた相場であったために暴落に耐性のない所謂『靴磨き』が投資をする時代となってしまいました。それを考えると当然投げ売りも多く、恐怖指数も上昇しやすいのです。

市場サイクルに影響する事象

こうした投資家心理はいつの時代も暴落や暴騰に影響します。ハワード・マークスはチャートの形状を『振り子』に見立ててそれを動かす投資家心理は以下であると記します。

振り子のエネルギーとなる投資家心理

  • 陶酔感と沈滞感の間
  • 好材料への歓喜と悪材料に対する強迫観念の間
  • 過大評価と過小評価の間
  • 強欲と恐怖の間
  • 楽観主義と悲観主義の間
  • リスク許容とリスク回避の間
  • 軽信と懐疑主義の間
  • 将来への価値への期待と現在の目に見える価値へのこだわりの間
  • 焦り買いとパニック売りの間

これらのリストを見て思い当たる節はありませんか?

これらは全て今の状況を示しています。これらが存在する間は市場のボラティリティが高く、不安定であり続けます。

また、市場動向を振り子に見立てることで見えてくることがあります。それは株価の『適正価格』と言う概念は、ほぼ一瞬でしかないということです。

事実、市場は割安か、割高かでしか判断しません。つまり適正価格であることはサイクルの中ではごく一瞬です。

では何故、適正で動かないのか?それは、常に投資家心理がどちらか一方に行き過ぎるからです。

例えば今回の暴落も、市場が好調すぎたせいで下げるときのエネルギーが膨大となっています。これは逆もまた然りで、適正価格をすっ飛ばして下げ『過ぎる』状態まで下落した今日(こんにち)、次に反発するときは非常に大きなエネルギーで反発すると考えられます。

僕はこれを根拠に分散して値戻ししたところを狙い撃ちするつもりでいるのです。そういう意味では、この下落がリーマンであろうがドットコムであろうがオイルショックであろうが関係ありません。強いエネルギーで生じた振り子の振れ幅は、そのリフレクションも強いのです。

同書の中にこのような言葉が記されていました。

『しかし、市場は振り子であり、行ったり来たりを繰り返す。但し歴史は繰り返さないが、韻を踏む。』

これはサイクルは必ず生じるということと、全く同じ騰落はないが似たような状態にはなる。ということを指しています。この文言こそ、全てです。

どうしても暴落のみに焦点を当てがちですが、成長もまたサイクルの一つです。

今一度、基本に立ち返って市場とはどのようなものなのかを再認識してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、この本は株クラ民の中ではあまり人気がなく、低評価であったことを覚えています。しかし僕の今回の相場での冷静な判断はこの本によって生まれたと言っても過言ではありません。興味があればご一読ください。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

あんな時、こんな時、どう動けばよいのかは人それぞれ指針がありますが、間違ってもTwitterの株クラ民を追従するのは危険です。今回ご紹介した内容もまた然りです。僕は今回で言えばハワード・マークスの著書を読み、自分なりに納得してこのようなスタイルを取っています。他にもシーゲル、ティリングハスト、グレアムなど様々な知見を持った人々の考え方を自分なりに咀嚼しているのです。

一見すると株クラの方々も同様の事を発信しているように思いますが、それはあくまでもサマリーであってその本質全てを示しているわけではありません。つまるところ、自分で読んで自分で解釈することが肝要です。

いずれにしても、今回の暴落は歴史的なものになりました。これまで疫病蔓延による相場はすぐ持ち直すと思われていたわけですから、こういった先入観が引き起こした魔の時間であったかもしれませんね。

全ての投資家に幸あれ

最後までお読みいただきありがとうございました。

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