〔米国株〕決算不振のCAT しかし建設業界に冬は来ない『新時代ニューディール』

こんにちは。びたみんしーただです。

今回は、ダウ工業30種の老舗でもある、建設業界のドン『CAT』キャタピラーが今期決算の不振で売られました。これを背景に建設業界に冬の時代に突入するとの観測が強まっています。

しかし、決算情報からは少し遠い「今後のアメリカ国内の政治状況と政策」といった少し違う視点から考察をしてみたところ、どうもすぐにその通りになるとは思えませんでしたので、整理してみたいと思います。

はじめに

今回、キャタピラーの決算は不振となりました。2019年の出だしとしては中々厳しい船出となりましたね。

その要因は、中国国内での需要低迷とのことです。これは同時に利益警鐘を鳴らしたNVIDIAも中国国内での営業成果を上げられなかったのと酷似していますね。

以下、ブルームバーグの記事を引用します。

工業
工業分野の代表的企業であるキャタピラーは28日に昨年10-12月(第4四半期)決算を発表した際、2019年通期利益がウォール街の予想を下回る見通しを示した。中国での掘削機販売は前年比横ばいになると予想した。

スタンレー・ブラック&デッカーのジム・ローリー最高経営責任者(CEO)は先週、中国と世界の大半で景気減速に直面していると述べ、警鐘を鳴らした。その前の週には塗料メーカーのPPGが2019年前半に見込まれる圧力の一つとして中国の低調な産業活動に言及した。

テクノロジー
世界のパソコンやサーバーの大部分の主要部品であるプロセッサーを手掛けるインテルは先週、通期見通しが市場予想を下回った理由の1つとして中国需要の軟化を挙げた。コンピューター・グラフィックス(CG)カード用半導体メーカーで最大手のエヌビディアは28日、中国を中心に「マクロ経済状況の悪化」が同社製品の消費者需要に影響したと説明した。


中国での自動車販売は昨年、過去20年余りで初めて減少した。

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディースCEOは先週、スイスのダボスでブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、「確かに中国は脅威にさらされている。今年は厳しいだろう」と語った。

引用元:Bloomberg

[CAT]キャタピラーの決算情報

当ブログでこのCATに触れるのは初めてですので、概要を少し引用しながら紹介したいと思います。

キャタピラー (Caterpillar Inc.) は、アメリカ合衆国イリノイ州ピオリアに本拠地を置く多国籍企業。建設機械及び鉱山機械、ディーゼル及び天然ガスエンジン、並びに産業用ガスタービンエンジン分野における世界最大の製造会社である。1991年からアメリカを代表する企業で構成されるダウ平均株価の銘柄の一社として名を連ね、2013年のフォーチュン500では売上高世界42位(700億ドル)にランクされた。また創業初期から現在に至るまで世界シェアが不動の1位のため、建設機械の巨人と称される。2014年時点で 11万8千人の従業員が在籍しており、およそ6割が米国外勤務である。

引用元:ウィキペディア

言わずと知れた建設業界のビッグブルドーザーです。全世界の建設業界の展望はこのキャタピラーの決算次第と言われるぐらいの規模の企業です。ハイテクでいうところの[AAPL]アップルのような扱いであると認識していただいていいと思います。

続いて、キャタピラーの決算情報についてです。今回は、簡単におさらいするために、以下の米国株決算マンさんのツイートを引用して確認しようと思います。


今回の決算不振の最重要ファクターは中国の影響であるとなっています。多くの人は、米中貿易摩擦が起因と言うように解説していますが、それとは別に中国国内での成長率が少し軟化してきているのもあるとは思われます。

特に、建設機械を主に扱うキャタピラーはいわゆるところの『現場』がないと仕事になりませんので、中国国内でのインフラバブルは小康状態に入りつつあるのかもしれません。ちなみに、米国本国では堅調だったみたいですね。

ちなみに決算不振は2年ぶりだそうです。8期連続好調できていたのですね。また、予想から大きく外れたのは10年ぶりだそうで、如何に米中貿易摩擦が予想外の影響を引き起こしたのかが顕著にわかります。

決算不振の理由(一部推定)

キャタピラーの決算不振により、インフラ関連の株価は軒並み下落しました。日本でいうと、日立建機やコマツなどが挙げられます。あとはゼネコンなどが建機をリースする側となりますので、それらも下落した銘柄が多くなりました。

アナリストによると、先ほど紹介したブルームバーグの記事であったように、今後は掘削機の需要が中国国内で横ばいになるということでしたね。これらの参考記事+僕自身の考えを反映させると、今回の中国での不振は3つのファクターで表せると思います。

  1. 中国国内での建設産業の需給過多・頭打ち
  2. 『一帯一路』計画の頓挫
  3. 米中貿易摩擦

中国国内での建設産業の需給過多・頭打ち(推定)

建設重機が利用されなくなってきているのは業績にかなり影響が出ることは明白です。特に中国などの新興国(今の先進国の新興国時代)は、国力の向上としてまずインフラ開発が進むと歴史的に証明されています。

日本でも高度経済成長期に突貫でダム・橋・道路・高速道路・鉄道・空港などが整備され、その時は建設業界が非常に潤っていました。現在のオリンピック景気の比ではありません。

これらは1度整備されると今度は維持管理のフェイズに移行しますが、移行期間としては1,2年のスパンではなく30~50年以上の時間を要することがほとんどです。このため、インフラ整備というブームはある程度で頭打ちとなり、需給過多の状態となるのです。実際に中国のGDP成長率は鈍化してきておりますので、頭打ち感は否めません。

しかし、キャタピラーともあろう大企業が、そのタイミングを見誤る可能性は低いと思いますが、誤差の範囲内で予想よりも落ち込むという可能性は無きにしも非ずです。

『一帯一路』計画の頓挫(推定)

中国は以前、『一帯一路』という現代版シルクロードの整備を行うことを発表しました。これは中国国内での建設業従事者をバブル後に救うための政策ともいえるでしょう。ここに世界トップの建機メーカーであるキャタピラーが利用されないわけがありません(多少中国国内に参入するには障壁が高いかもしれないが・・・)。

これは建機業界にはかなり追い風の話でしたが、調べてみると現在それを推進し、支持しているのは主にアフリカの国々に留まり、欧州からは少し反感を買っているとのニュースがありました。どこまでFACTなのかは知る由もありませんが、おそらくは技術派遣と銘打って国内の人や企業の輸出が目的とされたときに反感を買ったのだろうと推察されます。

これらは超長期的に建設業界を下支えする計画として注目されてきましたが、今現在ほとんど動きがないところを見ると、これは貿易摩擦云々とはまた別のところでの痛手となります。決算概要内では詳細に触れられていないようなので、キャタピラーがこの事業にそもそも参入しているのか?参入していたとしたらどこまで重きを置いていたかは定かではありません。しかし、中国国内の事業に参入していたとしたら影響を受ける可能性は高いです。

米中貿易摩擦

ブルームバーグ内で主に触れられていた理由です。最近は何でもかんでもこの影響となりますね。侮れない現象となっています。

この米中貿易摩擦は実質的に中国国内の成長を妨げる結果となっていますので、当初の成長予想を大きく外す要因の一つとなります。何せ実体経済からの予想ではなく、突如降って湧いた政治的リスクによる市場の不安定状態ですので予想などつくはずもありません。

2019年1月31日現在、米中で協議が行われており、解消されるか悪化するかは未だわかりませんが、解消されるとしても実質的な米国勝利で終わる可能性も高く、その場合は最悪中国からは撤退せざるを得なくなる企業が増える可能性がありますね。そこにキャタピラーは入ってくるかどうかは要注目です。

今後の建設業界の展望

このように、中国と米国間での政治的問題や、需給のバランスによって不振となっているため、そのまま飲み込むと建設業界に冬が来そうな感じに捉えてしまいますね。株価を見てみましょう。

株価

決算発表が1/29でしたので、そこを見てみると10%近く下げています。その後2営業日で半値付近まで回復していますね。やはり老舗企業ということもあり、下げに強い印象がありますね。というかそこまでボロボロの決算でもなかったですからね。しかし個別株投資とは未来を織り込みながらトレードしていくものですから、ホルダーの皆さんは非常に悲観的になっている人も多くいるかもしれませんね。

トランプ発言は建設業界の超追い風

しかし、僕はそんなに悲観はしていません。むしろもう少し落ちてくれたら欲しいぐらいです。しかもものすごい欲しいです。現在は市場平均よりも若干割高ですので、手招きして待っているところです。

と、言うのも、あまり取り上げられませんが、トランプ大統領がこんなツイートをしていました。

内容をサマライズすると、『FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト元大統領)が夢見た全てである。ジョンソン元大統領は国民に福祉とフードスタンプを与えた。そしてトランプは職を与えた。』という内容です。ルーズベルト元大統領は教科書に出てくる有名な大統領ですね。ニューディール政策で世界恐慌から米国再興へ導いた指導者として有名です。

ディール政策はそれまでアメリカの歴代政権が取ってきた、市場への政府の介入も経済政策も限定的にとどめる古典的な自由主義的経済政策から、政府が市場経済に積極的に関与する政策へと転換したものであり、第二次世界大戦後の資本主義国の経済政策に大きな影響を与えた。世界で初めてジョン・メイナード・ケインズの理論を取り入れたと言われるが、彼の著書雇用、利子および貨幣の一般理論は1936年に出版されたものであり、ニューディール政策が開始された1933年よりも後である。原案は、いち早く世界大恐慌から脱した日本の高橋是清が考えた政策(時局匡救事業)と多くの部分で同じである。

ニューディールという政策名は、マーク・トウェインが1889年に発表した小説「アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー」において主人公が実施した政策にちなんでいる[3]。

引用元:ウィキペディア

ニューディール政策は、概要としては上記ですが、基本的には土木工事を始めとする公共事業をたくさん行うことで雇用創出を行い、賃金を払うことで消費を促し、経済を刺激するという手法でした。その時に建設されたダムなどは未だに利用されているものがあります。

ちなみに、このあたりに建設されたインフラ施設は90年代前半くらいから老朽化が問題となり落橋や崩落などの事故に見舞われています。これを『荒廃したアメリカ』と呼び、インフラがメンテナンス時代に突入していきました。

では、このツイートが何だということですが、トランプ大統領はこのようなツイートも最近連発しています。


要約すると『壁(アメリカとメキシコ国境)なしに安全と治安はあり得ない。壁を作れば犯罪は減少する。』ということです。米国の政府機関が閉鎖とつなぎ予算発効を繰り返している理由はこの壁問題ですね。おそらくですが実現する可能性が相当高いでしょう。いざとなれば強行できる権利がありますので。

そして、最近の動きとしてこんな記事があります。


最近の米軍の動きとして目立つのは世界警察からの卒業です。

これらのファクターを読み解くと、トランプ大統領のやりたいことは1つだと考えられます。それは・・・

メキシコ国境に壁を建設し、その警備を帰国した米国軍人にさせる!

いわば『新時代ニューディール政策』を実施しようとしていると思われます。それこそ信じるか信じないかはあなた次第ですが、僕個人としてはこの可能性は極めて高いと感じています。元々企業人であるトランプ大統領が辻褄の合わないことを好むとは思えないからです。むしろ、この路線は超合理的です。

メキシコ国境は全長で約3,100kmと相当な距離があります。これらを例えば盛土やコンクリートで壁で覆うとなると、十数年~数十年単位での内需と労働力確保が可能となります。ちなみに、ダムの建設は小さくても5年くらいかかります。それを鑑みると特に米国内の建設業界には超追い風以外の何物でもないと思います。

このため、今回の中国での失敗など屁でもない程のボリュームの建設工事が、しかも内需として得られる可能性が出てきました。規模と期間を考えても、次の新興国が台頭してくる可能性も高く、タイミングが合えば相乗効果で業績が改善されていく可能性があります。

そもそも建設業界の業績は、民間同士の運営額で決まりません。日本国内でもそうですが、主に国庫から支出される予算が土木工事などとして発注されますので、公共事業としての利用がかなり多い業界となります。その際にキャタピラーのような建機が使われるわけですから、各々の国の政策は非常に重要なファクターとなります。地政学リスクを監視するという考え方は非常に重要です。現に、2009年に民主党政権となってから国土交通省の予算が削られた結果、国内の1/3の建設業者が倒産しました。そのぐらい政策が響いてくる分野なのです。

これが、僕が建設業界に冬が来ないと思う理由です。あくまで政策ありきの考え方なので不確定要素も含みますが、最近の政治状況を見ているとどんどん現実味を帯びてきていると実感しています。

おわりに

いかがでしたでしょうか?5,000字を超える対策になってしまいました・・・。

実は専門であるはずの建設業界株は持ってなかったのを反省していたところでした。しかも、こんなに期待していることもあったのに。という感じです。

建設業界は政策で決まります。これは皆さんもよくわかっていることだと思いますので、政治状況や各国間の駆け引きにアンテナを張っているならば考えてみてもいい銘柄かもしれませんね。

今期の決算は米中関係が非常に注目されていて主に下落要因としてネガティブなシーズンとなっていますが、アメリカの経済は今後もある程度明るいと思います。リセッションなどは必ずありますが、それを乗り越えた先を見据えた投資をしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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