〔米国株〕NVIDIA決算終了。テーマ投資失敗の好例なのか?それとも・・・?

こんにちは。びたみんしーただです。

2/15にNVIDIA(NVDA)の第4四半期決算が発表されました。先日、下方修正の利益警告が発表されていましたので、決算が当初の期待を裏切ることは周知されていた中での発表となりました。

前回決算と下方修正時の情報等については以下をご参照ください。

はじめに

NVIDIAはこれまでAI銘柄の大本命として市場を席巻してきました。実際に10月の米国株暴落、3期の決算不振までは殆どのグロース投資家が保有しているほど大きなリターンを生み出してきました。

しかし、2018年後半から当期にかけては決算の不振が相次ぎ株価は半値以上まで値下がりするという見事なナイアガラぶりを発揮してきました。

そんな中、今回の決算はこれまでの不振の状態とは一味違い、事前に利益警告をした上での決算となりました。

この事例は珍しいわけでもなく、一応投資家に配慮したものと思われます。先日Apple(AAPL)も同じように利益警告をしてからの決算発表を実施しました。結果として、決算自体は警告時よりも悪化していなかったことから決算後は買われるという動向が見えたのが注目すべき点です。

上図のように、下げる前よりもむしろ上げています。つまり、利益警告を正確に出しているもしくは低めに出していると判断できた場合、短期投資家にとっては利益を生むチャンスになるのかもしれませんね。僕はやりませんが。

NVIDIA第4Q四半期決算 概要

全体概要 四半期決算

  • 売上高:22.1億ドル(修正後予想から+0.1億ドル
  • EPS:0.92ドル(予想から-0.86ドル
  • 売上成長率:前年同期比-24.0%

以下、次期決算ガイダンス

  • 売上高 :21.56~22.44億ドル

全体概要 通期決算

  • 売上高:117.1億ドル(前年比+21%
  • EPS:6.63ドル(前年比+1.81ドル

個別事業推移概要

続いて、個別の事業の推移状況です。

  • Gaming:前年同期比-45%
  • Professional Visualization:前年同期比+15%
  • Datacenter:前年同期比+12%
  • Automotive:前年同期比+23%
  • OEM and IP:前年同期比ー36%

決算所感

全体概要 四半期決算

今回の決算は、前述したように利益警告をこなしたあとの株価で迎える決算となりました。結果として時間外は一時+10%の上げを記録し、170ドル前半まで上昇しました。その日の夜の市場では市場動向も下げの方に向いていることもあり、それほど上昇せず1%強の値上がりとなり終了しました。

繰り返しになりますが、褒められた決算ではないです。間違いなく。前回決算も不振となりましたが、それを更に下げた形の失望決算だったわけですので、厳しい目を向けられて当然だと思います。正直、なぜ時間外で上げたのかわかりません。

実際このような決算を見てノンホルの投資家が死体蹴りのような記事をアップするのが目立っています。しかし、これは事実として捉えることが大事であり、ホールドを決めている人はこういった流れに流されないような胆力が必要ですね。

ちなみに来期以降は当決算から横ばいか減少する見通しとなっているようで、なかなか夜が明けぬ感じなのでしょう。現在はマクロ経済上でかなりの経済リスクがありますので、それを厳しめに見積もっての予想であれば次期決算以降で跳ねる可能性は高いと思います。しかし、中国経済自体、米国につぶされかけており、これまで通りの水準まで回復するのは難しいのではないかと言う意見もチラホラ目にします。それも限定的な動きとなりそうです。

全体概要 通期決算

通期としては何とか成長率をプラスにもっていけたという感じですね。以前の記事で、ゲーミング部門を縮小し、本格的にデータセンターと自動運転関連にシフトするのではないかとポストしました。しかし、今回の決算は決してその兆候が見られたということではありません。

前述で紹介した記事内でも書きましたが、これは中国経済における問題が大部分を占めます。むしろレイトレーシング技術が発表されてから未だに市場に浸透していないことが一つ原因なのではないでしょうか?ゲーミングはこれらの技術が適応されてから大きく回復すると見られますね。

但し、今後の営業方針として、大部分を中国対象にマーケティングしていくのが正解かどうかはわかりません。当然AI関連の技術は先進国に向けたマーケティングになるとは思われますが、米国本土、中国に依存しない営業形態を構築していくこともまた考える必要があるのかもしれませんね。

ということで、通期ではなんとか持ちこたえました。今期はまずゲーミング部門の市場反映とデータセンターや自動運転車の普及が革新的に起こることを期待したいですね。まぁ企業としての魅力はこれまで同様変わらないと思います。

個別事業推移概要

今回決算は通期発表もありましたので、一度立ち返って、「なぜこのような失望決算を出すに至ったのか」を考えてみると同時に個別事業の推移を観察していきましょう。

Gaming部門

短期での問題はGamingにあると確信しています。Gamingは市場自体が狭く、参入障壁はそこそこ高い分野ではありますが、すべてはエンドユーザーの購買力に帰するところがあります。あくまでもユーザーです。開発者ではありません。そういった意味でも前述した中国国内の需給の変化は水物で影響が受けやすいというのは明白です。

現在日本国内、米国圏ではNVIDIAのグラボが使われているNintendo Switchの売り上げがスマブラの登場と共に大幅に上昇しています。しかし、おそらくこれは既に出荷済みのものであるため、織り込み済みの数量であると思われます。よって来期以降は本体の製造も少し下火になることが予想できますので、長い目で見ていかなければならない部門かと思います。

Professional Visualization部門

こちらは成長率こそ落ちましたが、安定した収益を得ている部門と言えるでしょう。前期に比べると比較的落ちましたが、PC自体の減価償却を考えると、画像処理等で市場を牽引する間は汎用型PCにもNVIDIA製のGPUが求められることが多くなると予想できます。但し、この分野も市場牽引が絶対条件となり、それに加えてサポートなどの充実が重要になると思われます。これらは顧客がPC販売元(HPなど)に始まり、個別企業、そして個人と幅広い層で取り扱われるものですので注意が必要です。

例えばAMDは機能は満足していても不具合が多いなどの欠点があります。つまりこういったサードパーティの製品を使う場合に重要なのはリピーターの育成です。この視点はもしかすると日本人的観点なのかもしれませんが、普段からPCを扱う顧客にとってサポートは非常に重要なファクターではないでしょうか?

Data Center部門

NVIDIAはGaming部門が右腕としたら、Data Centerは左腕です。これまでは、この部門の成長率は著しいものを記録してきました。そして今回の決算でこの牙城が崩れ去りました。当然決算にも大幅に影響し、利益警告を出さざるを得ない状況を作りました。

そのぐらいこの部門は肝なのです。

今現在、企業の40%が利用するAWSもNVIDIA製のGPUを採用しております。そんな中、今回の決算では前期比でマイナス成長となりました。前回記事でこの原因は『5G移行期間に伴う設備投資タイミングの調整』であることを記述していますので、今期はさほど気にしてはいません。問題は来期以降に今回契約できなかった数量も込みで数字を上げられるかにかかっていると思います。

データセンター、いわゆるスパコンは補修や修繕を行わずに新品交換のルーティンを取るために、非常に代謝のいい事業となっています。しかし、このように割の良いスキームは技術を競合他社に勝ち続けることで得られます。現在ではAmazonやMicrosoftが半導体製造業にも参入していますので、如何にマネタイズとして有用な事業であるかが伺えます。このため、これらの情報には留意してアンテナを張っておく必要があります。

とは言え、やはり参入障壁の高い分野であることは間違いないため、しばらくはNVIDIAが画像処理向けのスパコン用半導体部門では覇権を握ると思います。

Automotive部門

自動運転部門は、提携した自動車企業と共同開発した自動運転レベル2+(定義は不明)の販売を発表しています。データセンターも同様ですが、自動運転のような非常に処理が煩雑な機能は、その処理能力はもちろんのこと、消費電力や消費エネルギーの効率が肝と言えます。

この点、NVIDIAのGPUは他社と比較すると圧倒的な省エネ状態で利用することができるため、自動車のような常時接続通電できないようなものに対しても汎用性があるといえます。これらの条件を鑑みるに、GPUを超える革新的な効率性半導体が開発されない限りはしばらく市場を牽引すると思われます。また、まだまだレベル5の実用化には程通り段階ですので、これはあくまでも研究段階の技術として見ておくのが良いでしょう。むしろ研究段階のものがこうしてマネタイズに移行しているのを褒めるべきだと思います。

テーマ投資失敗の好例なのか? びたみんしーただのポジショントーク

※)この章はあくまでも個人的見解とポジショントークです。鵜呑みにすることなかれ、です。

日本のアフィリエイターとして有名な甘いお菓子の名前のブロガーさんもNVIDIAホルダーの死体蹴りをしました。また、僕も参考にする投資カービィさんもNVIDIAはテーマで買われ、テーマで売られたのではないかとの分析をしていますね。その他にもNVIDIAの終焉を書くブロガー投資家が多くいました。

僕は、この方々の意見に8割賛成の2割反対的な立ち位置です。と言うのも、モメンタムやファンダメンタル、マクロ経済は非常に大事なファクターではありますが、実は長期投資の目線はそれが全てではありません。これらのファクターや銘柄の属性と言うのは時代と共に変化するからです。

確かに、この銘柄に火が付いたのは『AI』『自動運転』と言ったテーマの部分であったことは間違いありませんが、株価下落や決算不振の理由が、『テーマが廃れたこと』ではなく『米中貿易摩擦』などの経済状況が言わば逆トリクルダウンで波及していることに起因しています。仮想通貨は完全にブームでしたが・・・。この状況は、モメンタム的には売りなのでしょうが、それはこの銘柄に限るものではありませんので説得力に欠けます

また、『テーマが廃れた』という理由は、明確な判断材料示が噴出したわけではないため、この評価自体も幾分かクエスチョンマークがつきます。少し後付けに近いような理由ではないでしょうか?

一方、ファンダメンタルにおいては通期で成長率が上昇しています。また、四半期にフォーカスすると株価が既に大幅に調整されていますので、ここからの株価の動きとしては下落トレンドの継続と考えるのは難しいのではないでしょうか?むしろ上昇に転ずる可能性が高いです。これがいわゆる悪材料出し尽くしです。

また、これはかなり個人的ミクロ視点での観測ですが、既に半導体の一定の規模のメーカーは、我々にとって生活必需な分野に状況に入っていると思われます。PCは個人ですら買い替えサイクルが5年未満であるのに対し、企業側は新規購入+買い替えサイクルが同時に行われ、働く人口=PCの台数と言うスキームが確立されています。

これは市場規模としてはかなり広い分野に分類されますね。つまるところ、その流れは、既に生活必需なスキームを構築しているに過ぎないのです。半導体のセクター自体は景気循環で成り立つとの見方がこれまでも多くありましたが、その大半を示すPC向けの半導体のサイクルと言うのはもう既に慣例化しており、需給の見極めも過去の統計から行うことも可能です。

つまり、旧時代と同じ轍を踏むようにはできていないのが半導体部門だと認識しています。但し、新規事業の仮想通貨データセンターは今回のNVIDIAのように在庫処理に苦慮するという場面はあり得ると思います。

話を戻します。言わずもがなですが、テーマ投資の失敗と言うのは『実績のない企業が超割高で取引される環境にあること』です。これの好例として挙げられるのは、かつてのドットコムバブルのIPOで「〇〇ドットコム」とそのワードが付くだけで上場、株価上昇した企業に対する投資ではないでしょうか?

NVIDIAに関しては、その流れの本流を行く企業ではありません。むしろファンダメンタルが安定している方です。つまり一概なブーム企業と一緒にすることは、投資機会のリスクであると思います。ただ、前述したように意見に8割賛成と言うのは、いずれにしても売却のタイミングを計り違えた僕自身が間違っていたということに他なりません。しっかりと受け止める必要はあるかと思います。

ポジショニングをどうするのか?

毎回書いていますが、ホールドでしょう。爆上げ!爆下げ!と言うのは今後中々見られないと思いますが、半導体セクターの中では相も変わらず優秀な企業です。それに、終焉したと言われているAIブームですが、これらの中心に未だに君臨していることは間違いなさそうなので、一刻も早い回復を待とうと思います。

CEO ジェンスン・フアンのコメント

前回記事でも紹介しましたが、今回決算にあたり、もう一度CEOからのコメントを確認しておきましょう。

「この後退にもかかわらず、NVIDIAの基本的な立場と私たちがサービスを提供している市場は強力です。私たちが開発した高速コンピューティングプラットフォームは、人工知能から自律走行車、ロボットまで、世界で最も重要かつ急成長している産業の中心です。我々は、持続的な成長に完全に戻ると期待している」と彼は述べた。

引用元:NVIDIA

「期待している」という文言に少し力強さは感じませんが、NVIDIAの良いところは、どっかのアパレルEC業界の社長自動車とロケットの会社の社長と違って、表に出すぎず、良いタイミングで投資家のフォローを入れるところです。また、現CEOは好況時に事業展開を行うことで自動運転などの部門をここまで成長させることができていますので、手腕は申し分ないと思います。そりゃ仮想通貨1部門ぐらい失敗するのはしょうがないです。

いずれにしても、予想とは裏腹に高成長を遂げていく企業であると認識していますので、少し気長に待ってみようと思います。実際、ソフトバンクが売り抜けて800%以上の利益を出していたと聞いたときは流石に苛立ちましたが、逆に言うとそういった機関が抜けた後の方が企業にとっての良いガス抜き・カンフル剤になるなんてこと往々にしてありますので、気長に気長に行きましょう。IBMはバフェットが応援していたことに天狗になってたかのように業績をさげまくりましたから、その逆流を行くような企業に成長して欲しいですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

相変わらずNVIDIAの事となると対策になりますね。5chを見ると死体蹴りの多いこと多いこと・・・まぁ5chは逆指標的に扱っていいと思いますけどね笑

つまりホントは今買い時なんじゃないかなーなんて安易に思っちゃってます。

若くして資産形成をするためには、いわゆる逆張り投資をしないといけない局面があると思います。当然、今の状況を見るに、投資機会の損失と言うリスクは当然ありますが、これからじりじり成長していくことが見えている企業であるならばその流れでじりじりと株数を増やしていくことに意義があります。

残念ながら僕の場合は、次回決算まで買増しは持ち越しますが、毎日情報をウォッチする理由は未だに参入機会を虎視眈々と狙っているからです。現在のレートで行くと、仮に110ドルまで落ちるようなことがあれば資産の1/3を投入しても構わないと思っています(その時に悪情報の分類によりますが・・・)。

一生一緒にエヌビディアはしたくないですが、半生一緒にエヌビディアにはなるつもりぐらいでドンと構えておくぐらいが、メンタル的にはちょうどいいかもしれませんね。

エヌビディアホルダーに幸あれ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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