こんにちは。びたみんしーただです。僕は、先月の11月上旬頃から市場の後退懸念を受け、ディフェンシブ株のポートフォリオ組み入れを考えてきました。その中で組み入れ銘柄に入れていたジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)ですが、12/14(金)に訴訟問題に関するニュースが飛び込んできました。
今回は、その訴訟問題の問題点や、銘柄に与える影響を考えながら組み入れていくべきかどうかまでを考察したいと思います。
目次
はじめに
投資におけるインカムゲインの重要性
そもそも、僕はグロースの運用メインで今まで投資をしてきましたが、先月からの米国市場リセッション疑惑を受けディフェンシブ銘柄などの組み入れが重要であるということに気付かされました。このため、年内に同銘柄を選定して投資するということを思案してきました。
この中で、銘柄候補の表を示して銘柄の選定を行っています。その中に今回の議題でもあるJNJが入っていました。
ジョンソン・アンド・ジョンソン
JNJはディフェンシブ株の代表格として長く米国市場を牽引してきました。今一度企業の概要についておさらいしておきましょう。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(英: Johnson & Johnson)は、アメリカ合衆国ニュージャージー州ニューブランズウィックに本社を置く、製薬、医療機器その他のヘルスケア関連製品を取り扱う多国籍企業である。ニューヨーク証券取引所上場企業
ロバート・ウッド、ジェームス・ウッド、エドワード・ミードのジョンソン三兄弟が創業した。滅菌の概念を世界で初めて製品に導入。50年以上10%成長を続けている。家庭用のバンドエイドや綿棒、ベビーオイルから医療機関で使用する医療機器、薬剤、薬、コンタクトレンズのアキュビューなどを製造販売している。一般企業の社訓にあたるOur Credo(我が信条)が有名。
- 本社:ニュージャージー州
- 設立 :1887年
- セクター :ヘルスケア部門
引用元:ウィキペディア
上記引用内に記述される通り、JNJは日本国内でも知名度が高く、バンドエイドやワンデーアキュビューなどの一般消費者向け商品なども幅広く展開しています。
ディフェンスに定評のあるJNJ
JNJはこれまで長い間市場で生き残り、且つ株主に還元を怠らない企業として評価され、成長してきました。上記は過去10年間分のチャートですが、ドットコムバブル崩壊時や、リーマンショック時の動きを見るとそれなりに下げています。そして、2013年以降は右肩上がりとなり現在は一時150ドルに迫る勢いで成長を続けてきました。
これらの実績が伴うことから、ポートフォリオのディフェンシブ株として多くの投資家に好まれ、組み入れられてきました。その組み入れられた最大の理由は、『投資家への還元が厚い』ということです。
現在の企業情報を整理すると
- 配当利回り:2.46%
- 連続配当年:56年
- 配当性向 :64.86%
- 予想PER :22.67倍
利回りは2.5%弱となっており、十分高配当銘柄と言える水準です。また、連続増配も56年間継続しており、多少増配率に不安はありますが、この実績は諸ハイテク株の中では見ることのできないものです。また、配当性向も未だに余裕があるため、今後このままの状態で事業が拡大していけば連続増配念も堅調に継続していくことができる水準です。
まさに、『ディフェンスに定評のある池上』ならぬ『ディフェンスに定評のあるJNJ』なわけですね。
不祥事『ベビーパウダーにアスベスト混入』
概要
では、今回の不祥事についてみていきましょう。タイトルにも書いていますが、ベビーパウダーにアスベストが混入していたという内容です。寒気がする事件ですね。これは。人類は未だにガンを克服していないため、かなり危険な内容です。多少かぶれるなどとはわけが違いますよね。
【ニューヨーク=高橋里奈】米カリフォルニア州裁判所の陪審は21日、スキンケア用品のベビーパウダーが卵巣がんの原因になったとする訴訟で、米製薬・日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に4億1700万ドル(約450億円)の支払いを命じる評決を下した。J&Jは評決を不服として上告するとしている。
引用元:日本経済新聞
また、僕が参考にしている広瀬さんはこのようにつぶやいていました。
ジョンソン&ジョンソン ベビー・パウダーの発がん性を知りながら科学調査報告書をねつ造、米国食品医薬品局(FDA)にも報告しなかった ロイター|広瀬隆雄 @hirosetakao|note(ノート) https://t.co/gKh3Ub16AO
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) 2018年12月14日
また、その他調べていくと、滑石(タルク)と呼ばれる鉱物が原因のようです。このタルクは発がん性物質である可能性が高いが、それを肌に塗ると毛細血管現象で成分を浸透させやすいみたいですね。しかし、このタルク、採掘時にはアスベストと隣接している場合が多いため、アスベストの成分も含まれるのではないかと以前から問題になっていたようです。また、化粧品にも使われているそうで、そういう意味ではこれは氷山の一角の事件なのかもしれませんね。
極めて悪質な事件
この事件は、異物混入事件のような扱いと思われがちですが、それは全く的を得ていません。この事件の悪質さは、1970年代から問題点が指摘されていたのにもかかわらず製品を生産・販売していたという点です。そして、極めつけは化学報告書の隠蔽および改ざんです。これは言い逃れできないでしょう。
女性の卵巣がんについては、股ズレの対処としてベビーパウダーを塗ることが多かったようで、その結果ガンが発症したという内容です。一部報道では原告は1万人以上いるということで、すぐに鎮火する事件とはならなそうですね。
このような成分の問題は、これまでもタバコなどでも起こった過去があります。フィリップモリスも訴訟費用の支払いでしばらく鳴かず飛ばすの低迷期を過ごしたことがありました。しかし、タバコに関しては健康被害がある前提で使用するユーザーが100%であるため、今回とは大きくかけ離れます。不特定多数の人間が利用可能な製品の改ざん、しかもガンに関するもの、もうダブル役満です。
JNJは買いなのか?
今回のこのような不祥事がどれくらい株価に影響するかを考えていきましょう。
売上高から考察
では、JNJの部門別売上から確認していきましょう。下記のグラフは2018年2Q決算時のものです。
このような内訳になっています。こうしてみるとベビーパウダーの該当する消費部門については、全体の5分の1以下の部門となりますのでベビーパウダーが売れなくなることに関してはダメージが小さいと見えます。また、賠償金4億7000万ドルの支払いについても、純資産の40分の1以下の支払いになりますのでそれほどまでに痛くない額ではあると見えます。但し、今後支払いの該当者が増えたりするとこれも一概には言えません。
このように、資金的側面から見た時には、多少の調整はありそうですが株価はいずれは戻るだろうという憶測がたちます。
企業は信用第一、株主にもユーザーにも
では2点目の『信用問題』からの視点ではどうでしょうか?これは非常に深刻な問題です。ユーザーに対して安全と称して生産・販売を続けてきたわけですからすぐに冷める熱ではないでしょう。また、売上高としては問題がなさそうですが、こういった消費者向けの製品やサービスは『評価が表面的に表れる』部門です。医療機器などは一部産業の人間が使うようなモノですが、こういった製品はピンからキリまでの人間が利用しますので、評価のどんでん返しはいくらでもあり得る話だと思います。
ファーウェイ問題に起因するiPhone不買運動のように、利用者がガクっと減ると、今後は消費者向け製品全体に影響を及ぼしかねません。また、我々投資家は、自分の資金でその会社の株を買います。これは一重に『会社を信用してお金を預けている』ことに他なりません。
そういう意味では株主であり消費者である投資家がどう判断するかと考えればおのずと答えは出ると思います。結局のところ、信用とは市場でも非常に重要な要素を持っております。日本の芸能界でも某歌舞伎役者が飲酒運転で逮捕されたの後に『信用を金で買えるならなんぼでも出す』という言葉を残しています。それは企業にとっても同じで、甘く見るといつかしっぺ返しが来る可能性がありますね。
このため、JNJは自浄作用を示せるよう経営陣の刷新や、責任追及・情報公開を徹底して行っていく必要がありそうですね。ホルダーが世界中にいる銘柄ですから、その対応に注目が集まるところです。
今の状況は少なくとも『買い』ではない
これまでに記述した通り、数字と消費者感情が逆転しています。このため、中長期的にみても今は買いの時期ではありません。これらの訴訟費用が全体の売上にどのような影響を与えるかも現時点でわかってはいませんし、何せ『上告』すると企業側はコメントを出しています。報道は報道として捉えるのはよいですが、真相は裁判が完全に終わるまでわかりません。
結果として、JNJが勝訴すれば株価は戻るし、負ければもう1段階下げます。これは明確にわかっていることでもありますよね。僕も購入寸前でのニュースでしたのでホッとしているところがあります。今回は完全に買わずにスルーです。
ちなみに、下落直前まではPERも割高水準でした。しかし、10%落ちたくらいでは割安水準まで下げたとは言い難いところです。短期的には戻すとの観測も出ていますが、これから新規でホルダーになろうと考えていた方々は見に回るのがよいかもしれませんね。
買うとすれば、訴訟が全て終わった段階が妥当じゃないかと思います。ディフェンシブ株でギャンブルするのは本末転倒じゃないですか?
おわりに
いかがでしたでしょうか?ホント危なかったです。金曜日飲み会で良かった・・・と神に感謝しました。
今回の事件で気付かされたのは、やはり完璧に安定している企業はないということです。どれだけ歴史があって連続増配も50年以上続いた大企業であってもこういった事件を引き起こしてしまうわけですからね・・・。
でもこれだけ一企業の隠蔽、改ざんで騒ぎ立てられるのに、あれ?どっかの国の国会議員はやりたい放題じゃね?なんて少し思うわけです。不思議ですね~。
現時点で組み入れ銘柄を思案中ですが、JNJが抜けたことで一枠空きができてしまいました。別に無理に買う必要もないんですが、BLKあたりを入れとけばとりあえずはよいのかもしれない・・・なんて思ったりしています。
少し落ち着いて考えることにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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