こんにちは。びたみんしーただです。
今回は先日決算を通過したAmazonの決算内容と共に現状と今後を考えていきたいと思います。
目次
Amazon 第3Q決算
決算概要
まず今回のAmazonの決算状況を確認します。決算の概要は米国決算マンさんのツイートを引用したいと思います。
Amazon決算
Amazon (NASDAQ:AMZN) Q3’19
EPS $4.23 予想-$0.39
売上 $69.98B (+23.7% Y/Y) 予想+$1.17Bhttps://t.co/teq2mK97wyAWS +34.7%成長
AWS 営業利益率25.1% (ここ1年やや低下傾向)株価は時間外で-8.2%https://t.co/pHyGGb7Ut3 pic.twitter.com/VG7iVyUw9I
— 米国株 決算マン (@KessanMan) 2019年10月24日
売上、営業利益、EPSの3本柱で考えると全ての項目でプラスとはなりませんでした。これは営業利益率が鈍化していることを示しています。特に売り上げは予想を大きく上回ったものの、営業利益の成長が鈍化したり、EPS(1株当たり利益)が予想を下回ったのが特徴です。
営業利益の成長鈍化の理由
今回、決算において営業利益率の鈍化が指摘されていますが、プレス資料を読むと以下の理由のためであると考えられます。
- 翌日の無料配送の実施
- AWSのストレージ利用料の大幅な引き下げ
翌日配送に関する文面
Amazon founder and CEO. “Customers love the transition of Prime from two days to one day — they’ve already ordered billions of items with free one-day delivery this year.It’s a big investment, and it’s the right long-term decision for Customers. And although it’s counterintuitive, the fastest delivery speeds generate the least carbon emissions because these products ship from fulfillment centers very close to the customer — it simply becomes impractical to use air or long ground routes.Huge thanks to all the teams helping deliver for customers this holiday.
引用元:Amazon.com
AWSの利用料金に関する文面
AWS announced a 44% reduction in storage prices for Amazon Elastic File System (Amazon EFS) Infrequent Access (IA) storage class, one of the largest percentage price reductions in AWS history. Amazon EFS is a low-cost, simple to use, fully managed, and cloud-native NFS file system for Linux-based workloads that can be used with AWS services and on-premises resources. Amazon EFS IA is a storage class for Amazon EFS that is designed for files accessed less frequently, enabling customers to reduce storage costs compared to the Amazon EFS Standard storage class. AWS has reduced prices six times thus far in 2019, and this marks the 75th price reduction since its inception.
引用元:Amazon.com
小売り業の成長加速とクラウド事業の成長鈍化
Amazonの決算報告は、北米の小売り、海外の小売り、AWSの3項目で示されます。ここで今回の決算プレゼンの資料を示します。
特徴的なのは、営業利益(右グラフ)はかなり鈍化しているように見えますが、売上高は大きく上振れしています。これは先述した無料配送などの一時的なサービス拡大(投資)活動により利用は増えたもののコストがかかっていることを示しています。
CEOのジェフ・ベゾスは、この翌日無料配送拡大は、今後の利用者数を増やすための投資であると発言してます。結果として、今期の売上高は大きく上振れており一定の効果が示されています。
当然、これらはいずれ利益率をあげることが課題となりますが、Amazonの設備投資の傾向から、今後利用が多い地域に集配場や倉庫を設けることで配送コストを削減していくという算段だと思われます。これは長期的にみると安定した会費収入を得るための種まきといったところなので、今後芽吹くのを期待したいところです。
一方でAWSも営業利益の成長率が鈍化しました。これは今年AWSのストレージ利用料の値下げを6回も敢行しており、その結果営業利益が数字上低下した可能性があります。逆に値下げしても売上高は成長しているところを見ると新規顧客は獲得できているようです。
MicrosoftのJEDI受注でAWSは終焉?
以前、記事で書きましたが、アメリカ国防総省のクラウドインフラの整備事業をAmazonではなくMicrosoftが受注しました。
超大規模公的事業の受注はAWSで間違いないとされていました。しかし蓋を開けてみるとMicrosoftの土壇場での大逆転がありました。
トランプ大統領の介入
これはトランプ大統領の圧力があったためとされています。これはジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを買収したことに関連する圧力と見られています。
米大統領ドナルド・トランプは、米国防総省のJEDI(ジェダイ)クラウド入札案件に関する調査に補佐官を指揮すると述べています。この契約自体は10年間の長期に渡り続く可能性があり、総額11兆円にのぼる巨大なプロジェクトです。
来月にはAWSまたはMicrosoft Azureの2社のいずれかが落札する最終選考段階ですが、トランプ氏はAmazonへの贔屓に対する不満を根強く持っているようです。 トランプ氏が以前、公然と口撃した会社 、 AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が所有するワシントンポスト社に対する嫌悪感のせいです。
引用元:データセンターカフェ
と言うのも、同紙とトランプは過去に何度か舌戦を繰り広げています。
トランプ米大統領は23日、米紙ワシントン・ポスト(Wポスト)へのツイッター攻撃を再開し、アマゾン・ドット・コム創業者で富豪のジェフ・ベゾス氏が保有する同紙をアマゾンの「高価なロビイスト」だと指摘した。
引用元:ブルームバーグ
「書かれては応戦し」「応戦されては書き」と言う展開で収束しなかったこの問題は、ホワイトハウスがワシントン・ポストの購読を辞めるというところまで発展しました。
米メディアは24日、ホワイトハウスが全ての連邦政府機関に対し、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの米主要2紙の購読を更新しないよう指示する準備をしていると報じた。ウクライナ疑惑やシリア駐留米軍撤退などで強い批判にさらされるトランプ大統領のメディア攻撃が激化している。
引用元:毎日新聞
このように、Amazon本体とのいざこざと言うよりは、嫌いなワシントン・ポストを手中に収めるジェフ・ベゾスがCEOであるAmazonだから介入した。と言うのが筋でしょう。
ただ、このワシントン・ポストですが首都ワシントンで発刊している新聞社であるため読者=ワシントン市民となります。記者の思惑はともかくとして、利益を得るためには読者の同意を得られるような記事を書かなければなりません。
ワシントンと言えばトランプの支持率はべらぼうに低い地区です。これが反映され、熟れる新聞=反トランプとならざるを得ないのかもしれませんね。
AWSはクラウド業界で負けたのか?
MicrosoftはこのJEDIは超大型案件であることや、公的機関が導入することも後押しし公的機関と取引を行う事業者も今後AZUREに乗り換える可能性があるという相乗効果を得られます。
これはすなわち今後米国内のクラウドサービスのシェアはMicrosoftが多数を占めるかもしれない!という期待を抱かせます。
ちなみに昨年時点では技術的面や営業面でMicrosoftがAmazonに中々勝てないという旨を僕個人がお偉いさんに質問して聞いています。以下の記事をご参照ください。
クラウドサービスの世界シェアで、米マイクロソフトが米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を逆転し首位に立ったことが8日までに分かった。
引用元:日本経済新聞
また記事にあるように、2018年時点でのクラウドサービスの売上シェアはMicrosoftが1位となったとニュースになり、その勢いはもはや誰にも止められないのではと感じます。
僕もそう思っていました。
がしかし、クラウド事業と一括りにしてしまうとこのように勘違いしてしまいますが、クラウド事業はSaaS、PaaS、IaaSの大きく3つに分けられます。
《図解》いまさら聞けないクラウド用語: SaaS、PaaS、IaaSってどういう意味?そしてその違いとは?
上記ウェブサイトでわかりやすく解説がありますのでご覧ください。
僕たちが日常で利用するのは主にSaaSとなります(G-mailなど)。しかしSEなどの言語を使って自ら作成やカスタマイズをするユーザーはPaaSやIaaSをメインに利用します。
これらそれぞれのシェア率を確認すると以下のようになります(2018-2019.04)。
お気づきの方も多いと思いますが、SaaSにおいてAWSは参入しておらず、これらを総じて売上高とするのであれば少しずつ成長を続けていたMicrosoftがAWSを抜くのは必然です。むしろこれまで1部門抜きで全体トップにたっていたAWSがすごいわけですね。
つまり、まだAWSはクラウド事業で敗者となったわけではありません。十分なシェア率を持っています。しかしながら、すべての部門でMicrosoftが2位のシェア率を持つことや今後AZUREはJEDIの後押しを受けるため、更なる成長が見込まれる可能性は高いです。またAmazonを新・悪の帝国と揶揄する記事も少しずつ増えてきています。傍から見たら新旧悪の帝国対決で面白いかもしれませんが、投資家からしたらたまったもんじゃありませんね。
皆さんはこのクラウド事業の状況をどう考えますか?
おわりに
いかがでしたでしょうか?
僕もかなり勉強になりました。クラウド事業ってのは奥が深いんですね。いずれにしても大型事業を出来レースと思われていたAWSが受けられずAZUREが受けたというのは少なからず勢力図に影響するでしょう。
これまでAmazonの中で利益を出してきた切り込み隊長が今後どうなるのかで企業自体の価値に大きく変化も生まれそうですね。
いずれにしてもしばらくは切磋琢磨してくれそうなので静観するとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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